ももへの手紙 感想

ももへの手紙

もっとガンガンやんなよTVで、こーゆーの。

=以下、多少ネタバレです。=

折角こう言った、監督がやりたい事を丁寧に綴ったクオリティのアニメ映画が存在するのに、何故ジブリばかり放送するのか。
そりゃ知名度もくそもない(いやあるけどね)アニメに枠取るよりも遥かに確実性の高いジブリを回転寿司するのは解る。かなりスケルトンな大人の事情だ。

しかしジブリ作品のバーターとしてでも(凄く失礼な話だが)、もしくは前座としてでも知られざる名作として紹介放送する枠を設けて欲しくある。
ジブリ祭りやハリポタ祭りをやるのなら、ついででいいのでこういった埋もれてしまうには惜しい逸品たちに評価を、評価される機会をもっと与えて欲しい。もっとですもっと。全然足りん。
数値に呪縛され続けるTVでは、到底無理なのだろうけれど。

この映画は、監督の沖浦啓之氏が、自分のルーツである瀬戸内海を描きたいと言う想いを出しきった(多分)作品である。
田舎を舞台に都会から引越ししてきた母娘と、娘にしか見えない妖怪たちの織り成す物語と言った、どこかで聞いたようなプロットは兎も角、ずば抜けてプロ意識の高いアニメーションが特に魅力。
しかし全部が全部いちいち綺麗な為、トイレに座った妖怪の尻というマッハで忘却したい描写も印象深く脳裏に焼きついてしまう諸刃の剣でもあるが。

脚本は良く出来ている。どこへ出しても合格点は下回らないと思われる。数々の賞を獲得するだけはある。
ファンタジー作品によくある、不可思議なご都合主義展開はこの映画にも健在だが、妖怪というフィルターで上手にカモフラージュしており、流石に巧い造り。

しかし、それによる物理現象の影響は、劇中「やはり不思議パワーで回収」される訳でもなく、確実に起こった事象として爪跡を残している為、個人的にもやもやが残った。
その事は、主人公である「もも」以外の人物たちに勿論認識されており、例えば猪の仕業と推理したり、妖怪を視認出来ない事で他の何かで答えを補っているリアルが描写される。
それは最悪のタイミングで母「いく子」に発見された妖怪達の犯行残滓を、ももが疑われ尻拭いしなくてはならない理不尽さを少しも解決されない部分が最も顕著である。
その部分は、意地の悪い見方をすれば、映画などで描かれたジャンヌ・ダルクやモーセの精神疾患・妄想説と重なり、劇中でも5歳児の少女「海美」が兄の「陽太」に軽めではあるがそういった扱いを受けている。
辛うじて、ラストの藁船シーンでいく子が感じ取る「カズオ」のニュアンスを、それらの一応の救済と取れなくもないが、凄く微妙である。
何か理由つけてカーチャンにも字が見えれば良かったのに。(物語としての色気はないけど。)
脳内補完としては、後に後夫となる(かも知れない)「幸市」が、妖怪について、いく子にフォローする可能性もある。

あと、特にアニメ映画でよくある声優(を起用しない)の問題だが、この作品でも丸出しの陣である。
ただ本作品は、その時期のフレッシュ枠なクソ俳優に話題性先行でオファーしている訳ではないっぽい。
声優云々の一番の問題点は、演技がクソ下手もしくは声質が合っていない所だが、この映画では、そこがかなり緩和された稀有な例と言える。
特に母いく子役の優香は、エンドクレジットで起用に気付かされるほど、自然で巧みな演技であり声も悪くない、素晴らしい才能である。いや、びっくりした。




・2012年4月21日(土) 全国ロードショー 映画『ももへの手紙』公式サイト
http://momo-letter.jp/
・映画『ももへの手紙』オフィシャル(@momo_tegami)さん | Twitter
https://twitter.com/momo_tegami
・Production I.G / 作品紹介 / ももへの手紙 / スペシャル
http://www.production-ig.co.jp/works/momo-letter/special/
・ももへの手紙 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%82%82%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99

=参考=
・『ももへの手紙』の沖浦監督へインタビュー! - アニメイトTV
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1332407404
・ももへの手紙『キャスト&スタッフ8人に徹底取材!!温かく優しい画、物語の力強いメッセージに迫る』 | ORICON STYLE
http://www.oricon.co.jp/entertainment/special/2012/momo0314/03.html
・WEBアニメスタイル | 『ももへの手紙』沖浦啓之監督インタビュー第1回 きっかけは「不思議惑星キン・ザ・ザ」
http://style.fm/as/13_special/mini_interview/momoe_1.shtml

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