劇場版アニメ『心が叫びたがってるんだ。』感想

心が叫びたがってるんだ。

なんか思ってたんと違う。

もっとライトでイージーでヤングシャウトなポップでロックの感じを予想してた。
もっと『ときかけ』だと思っていた(ときかけがライト~って訳じゃないが)。この映画を見て思い出したのは『AURA』

アナルとかくれんぼかますアニメ『あの花』スタッフが満を持して繰り出したタイトルなだけに、あのテイストを期待して観た人も多いだろう。私もその一人である。
あの花映画はクソまみれの商業産物に過ぎないが、それでもしっかり号泣した私にとって、このスタッフの地力はすこぶる信頼に値するものである。

勿論今回も例外なく泣けたのだが、同時に腑に落ちない点(と言うか違和感)も幾つかあった。


=以下、ネタバレです。=


先ず、冒頭。
父親がクズ過ぎるのは何故なのか。
順が拓実に語った”脚色”があの部分にも適応されるのかは解らないが、幼い娘に対し一人の父親として確実に失格なクソ野郎としか思えない。
あのシーンしか描写されないキャラクターとして、言い訳の一切を許されないヘイトなだけの役割である。

母親も母親で酷い。
失声症(多分)の実の娘に対し「みっともない」は無いだろう。
てっきり順が自発的に周囲と関わらない生活を送っているのかと思っていた私は、軽くショックを受けた。
まだこの母親は、と言うかこの母娘関係は展開上修繕されるのだろうと予想は出来ても、ストレスに疲れた親が薄々気付きつつも子供に死体蹴りを行うシーンは、どうしようもなくリアルである。

彼女らの関係については、無論、娘の順にも原因が無い訳では無い。
言葉以外にも訴える手段はいくつもあり、そしてそれらを順は知っており普段活用もしている。そして、それが出来得る性格でありバイタリティもある。
確かに、それらが上手く噛み合わずタイミングを逃しつつ十数年過ごした結果が、ああやってストーリーされているのだが、それにしてももっと何とかならんかったのかと視聴者は煽られ翻弄されるのである。

そして失恋。
全てが上手く行き、丸く収まる筈の前夜に絶対の信頼を寄せていた王子様に振られ、お姫様役を信じていた順は、逃げる。

あの両親にしてこの娘あり。と思えなくも無い。
このシーンは確かに脚本としての戦闘力は抜群で、そして安定感は尋常じゃない。
しかしああまでドラマツルギーなパワーを発揮されると、岡田麿里氏の豪腕に少し俯瞰へと飛ばされる自分がいて、強引さが否めないとまでは言わないが、やや視聴としての立ち位置に迷う。
それもこれも全て超平和バスターズの計算通りなのだろうが、ターゲット層を考えると頷けなくも無く、それでいてそのメイン層から確実に外れる自分からはやっぱ苦くも在る。

ラストは余りにも大団円なのだが、これは好みの問題と置いておく。
いやその前に、順の周辺(特に拓実)はバランス的に言いたい事山程ある。が、これも置いておく。

要するに『あの花』とは全く違うターゲット層が、私の違和感の起因となっている点は無視出来ない。

最大の違和感はエンディングなのだが、これもまた置いておく。
余韻ぶち壊し過ぎてエンディング後のオマケBパート(無いけど)を見る事無く他の客の頭を叩きながら帰る自分の姿が簡単にイメージ出来る。が、それは言わないでおく。

王道と言えば王道。
一般向け作品としての徹底した作りは、名作と言っても良い出来。

それだけに『あの花』をネームバリューとして使うべきでは無かった。否、これは個人的な感想ではある。
もっともそれすらも、劇場版やドラマで知った言わばにわかな一般層を釣る為の餌なのかも知れず、この映画に関する全ては特にコアなオタク層など眼中に無いのかも知れない。

ただ、好きかと言えば、好きな作品であり、そして何より大変面白かった。感動もした。泣いた。

そして、超平和バスターズがどちらも作り得る奴らだと解ったのは大きい。


追記:
最初の方で『AURA』を思い出したと書いたが、AURAはすこぶるオタク向けなので悪しからず。
あと、あの花のギャル子が出て来たのは俺得だった。




・映画『心が叫びたがってるんだ。』
http://www.kokosake.jp/
・心が叫びたがってるんだ。 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%8C%E5%8F%AB%E3%81%B3%E3%81%9F%E3%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%8B%E3%82%93%E3%81%A0%E3%80%82

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原作 - 超平和バスターズ 監督 - 長井龍雪 脚本 - 岡田麿里 キャラクターデザイン・総作画監督 - 田中将賀 音楽 - ミト、横山克 出演者 水瀬いのり 成瀬順 内山昂輝 坂上拓実/玉子 雨宮天 仁藤菜月 細谷佳正 田崎大樹 藤原啓治 城嶋一基 少女・成瀬順は、幼いころに憧れていた山の上のお城(実はラブホテル)から、 父と浮気相手の女性が車で出てく...

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