OVA『イリヤの空、UFOの夏』感想

イリヤの空、UFOの夏- 東映アニメーション

描写不足のはんぱ無さぱねぇ。

ラノベ界でボーツミーツガールの金字塔と評価の高い本作品。
残念ながら原作は未読なのだが、知人に薦められOVAの方を鑑賞。

全体を通して説明や描写不足に感じるはしょり箇所が目立ち、全く理解不能と言う訳ではないが、悪い意味で原作を読みたくなる。
カットされているシーンは、一部フラッシュバックのように差し込まれる事もあるが、基本的に視聴者の想像力と補完力が試される造り。

ただ多分、原作はもっと細部が解るのだろうし、映像化するに辺り何とか文章的表現を避け、演出でそれを試みた姿勢は評価したい。
そして何より全6話視聴した結果として、評価され支持されるだけの面白さは確かに在った。


=以下、ネタバレ各話感想です。=

■1話
先ず、冒頭で路頭に迷う。
こういう訳の解らない主人公は、本当に苦手で嫌い。私が十代の頃にこれを見たとしてもやはりポカンとなっただろう。

主人公:浅羽直之が、無駄に浪費した夏休みのせめてもの思い出に学校のプールに忍び込み、そこで不思議な少女に出会うのだが、ここまでは別にいい。
その直ぐ後、パトカーのサイレンが近付き、それに気付いた浅羽が少女とプールを出ようとすると、大人の男が一人「帰る時間だ」とタオルを持って近付いてくる。
そして彼らと別れるまで、終始浅羽はその男にメンチを切り続けるのである。

意味が解らない。
何故、浅羽は男に対し敵愾心剥き出しだったのか。

例えば、男が高圧的、または厳しい態度で浅羽や少女に接したのであれば、納得は行く。
もしくは少女が怯えた態度になったり、良くない変化を見せたなら、守ろうとする態度として説明は付く。

しかし男は極めて落ち着いた大人の態度であり、1ミリも不安を煽る登場をしていない。
寧ろ少女の方で「大丈夫、知ってる人」と説明され、その上どう考えても不法侵入の浅羽に対し男は「俺も昔よくやった」と寛大。

深い状況説明をされず蚊帳の外扱いと言った事を差し引けば、悪い事を自覚してやった悪ガキが、大人に見つかっても反発し続けた。ようにしか見えない。
少なくともあの状況で男に対しメンチを切り続ける浅羽には、気持ち悪い感想しか抱かなかった。

■2話
浅羽とイリヤのデートイベントなのだが、1話の出会いからイリヤがほいほいデートをOKするまでの経緯がほぼすっぽりカットされている為、そこまで仲良くなった後なのか、ガチで行き当たりばったりだけど意外にもOKされたルートなのか解らない。
浅羽の下駄箱に猫やラブレターが入っていたり、「鼻血噴出してぶっ倒れるなんていつもの事じゃん」と浅羽が軽口を叩くくらいなのである程度の逢瀬は重ねた後なのか。
と言ってもイリヤから浅羽への感情は最初からMAXに近かったし、監視のねーちゃんが「この間のシェルター」と言っている辺り、大した時間経過はしていないっぽい。

部長♂と浅羽妹のガチ殴り合いは好き。

■3話
一向に話が進行しないのはいいとして、浅羽がイリヤやその周辺に対し何の不信感も疑問も持たないのは不可思議過ぎる。
部長や、浅羽に好意を抱く須藤、同じクラスの生徒たちや先生一同は普通に不信がっているにも関わらず、同じように疑問を抱く視聴者の心情と全くリンクしない浅羽は、感情移入を前提とするラノベ世界での主人公としてやはり気持ち悪い。
一応、前回、イリヤに対し質問し(仕方がかなり歪だが)イリヤも回答するシーンがあり、彼女の内情を知りたいけど聞くのは悪いと浅羽が吐露するも、それは主人公でありかつイリヤにゴリゴリに関わっている一般人として、余りにも聞き分けが良過ぎるのではないか。

■4話
ようやくストーリーが動きを見せ、各方面で意地のぶつかり合いも見られる。
浅羽がボッコボコにされるシーンはくっそうけるw
よくある構図なのだが、どっちの意見も頷けるだけに普遍的かつ熱い展開である。

■5話
計画性の無い逃避行の末路として感情の爆発は解る。
それを考慮してもやや突発的で、浅羽の場当たり的過ぎる稚拙な八つ当たりが、若さと言う部分だけでは到底許容出来かねる類に写る。
ここでは特に、描写の積み重ねがあって初めて視聴者は主人公たちの心情に乗っかれるのだが、それが全く足りていない為、ただ浅羽にヘイトを集めるだけの展開になっている点は残念。

■6話
兄ちゃん老け過ぎっしょ。心労?

締めとしては、概ね良かった。
ボーイミーツガールの良さは保障されてるし、世界観の補完的説明も一応ある。

小説として完璧であるなら、それはラノベ(それも若い世代向けの)としてハード過ぎるのだろうし、このレベルの文密具合が濃さとして求められるのだろうと、おぼろげに解った。
勿論これはアニメであるから原作を読めばまた違う感想を持つ可能性は大いにあるが。

■総括
セカイ系と言うジャンルがあって、それに準じた話を作るとすれば、歪であれラストに収束せざるを得ない予定調和は仕方無いとしても、個人的に蒙昧な犠牲ENDは大嫌いなので、面白かったが嫌いな話だった。
ラノベでかつセカイ系であれば、無論の事致し方ないを通り越して寧ろそれが需要の結果だとは思うものの、それでもイリヤと言う少女一人に全責任を押し付ける程、周辺世界が疲弊して見えなかったのは、世界観の描写として如何なものかとも思う。
敵エイリアンやその辺りが文字通り一切見えなかったのは、それがセカイ系と言われる所以でもあり、局所的一定の評価しか受けられない理由でもある。

是非、原作の方も読んでみようと思う。




・-イリヤの空、UFOの夏- 東映アニメーション
http://www.toei-anim.co.jp/animeister/iriya/
・イリヤの空、UFOの夏 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%81%AE%E7%A9%BA%E3%80%81UFO%E3%81%AE%E5%A4%8F


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『ME!ME!ME! CHRONIC feat.daoko / TeddyLoid』+『(Making of) evangelion:Another Impact』感想

20A ME!ME!ME! CHRONIC featdaoko - TeddyLoid - 日本アニメ(ーター)見本市
20B (Making of) evangelion-Another Impact - 日本アニメ(ーター)見本市

Bパターンとメイキングに感想なんぞあるか。

・ME!ME!ME! CHRONIC feat.daoko / TeddyLoid - 日本アニメ(ーター)見本市
http://animatorexpo.com/mememechronic/
・(Making of) evangelion:Another Impact - 日本アニメ(ーター)見本市
http://animatorexpo.com/makingofevaai/
・日本アニメ(ーター)見本市とは (ニホンアニメーターミホンイチとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1(%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC)%E8%A6%8B%E6%9C%AC%E5%B8%82
・日本アニメ(ーター)見本市 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%EF%BC%88%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%EF%BC%89%E8%A6%8B%E6%9C%AC%E5%B8%82

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『I can Friday by day! - 日本アニメ(ーター)見本市』感想

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可愛いは正義。

関係ないが『女子校兵』を思い出した。
Bパートまであって盛り沢山なのだが、まったく意味が解らない。

多分、設定資料や解説動画込み込みでのものが正しく機能する感想なのだろうが、見てもどうせ結局解らないので見ない。

少なくともこういった絵質のアニメで、例外なくカーチャンは可愛い。


・I can Friday by day! - 日本アニメ(ーター)見本市
http://animatorexpo.com/icanfridaybyday/
・日本アニメ(ーター)見本市とは (ニホンアニメーターミホンイチとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1(%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC)%E8%A6%8B%E6%9C%AC%E5%B8%82
・日本アニメ(ーター)見本市 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%EF%BC%88%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%EF%BC%89%E8%A6%8B%E6%9C%AC%E5%B8%82

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TVアニメ『雲のように風のように』感想 隠れた名作って言いたい気持ちは解る。

雲のように風のように

良くて中の上。

最近何見てる?と友人に聞かれ「見ていなかったジブリをまとめて見てる」と言うとこのアニメを紹介された。
ちなみにこの作品はジブリではないが、近藤勝也氏がキャラデザ等を手がけており、演出なども当時の雰囲気をまとった、かなりジブリに近いアニメである。

ぶっちゃけると劇場版アニメでは無いので、いくらバブリーな作品(提供1社でCM無し)とは言え、クオリティこそ間違いなく一流だが、豪華さは欠片も無く、終始ひたすら地味な印象のある作品だった。

個人的には嫌いじゃない。
むしろ地味であればあるほど脚本が光る為、私のような素人でも、その是非がダイレクトに判別出来るからだ。そしてこのアニメは面白かった。
勿論古臭さはあるし、何より地味である故に万人受けはしないタイプだと思うけども。

ところで、この作品の評価をぐぐっていたらニコ百に”原作 アニメ共に評価の高い作品。”と書かれていた。
原作は名実ともに高レベルなのは理解出来る。
ところがアニメの方は、評価が高いかどうか、定かでは無い。

無論の事、書かれてあるから事実と言う訳ではないが、このニコ百に関わらず、この作品を愛する方の感想や評価は、”名作””傑作”といった言葉が不躾に飛び交っている。
好きであれば褒めたいのは当然だし、特にネットでの感想レベルなのだから、ある程度の自由性は保障されて然るべきでもある。
それでも世間的な評判や評価が高まる、もしくは認知が広まるのを期待するのなら、評価は冷静であるべきで、感想をそれに当てはめては絶対にいけない。

確かに傑作ではあるかも知れない。
しかしそれは”個人的に”を前提とした評価であり、好みの範疇に過ぎないものだ。
傑作は名作は、その単語ひとつでそう言った評価を正式に、もしくは公式に受けている証であり、それを評価と言うのであればそのソースがなくてはならない。
それを個人の評価として軽々しく使うのは自由だろうが、それが如何にチープなのかを自覚していないように思え、非常に残念である。

そりゃ解ってて書いてるんだろうけど、「個人的には名作、もっと認知されて欲しい」とか見ると、なんだかなぁと思う訳。

そして個人的には名作とは全く思わない。
私は原作未読だけれど、それでも原作者も言った「物足りなさ」は見て取れるほどのものだし、子供向けにシフトさせているとは言え、原作の魅力がかなりカットされている点は大きくマイナスだと思える。

特にキャラクター周りの描写不足は深刻で、それぞれの役割が解り易くキャラ付けされているにも関わらずモブと余り変わらない活躍に留まっていて非常に勿体無い。
中でも個人的に驚いたのが、銀河が正妃に選ばれたシーン。
約45分の尺を使って描かれた物語の前半ベースである「誰が正妃に選ばれるのか」に向けてのそれまでの学園生活が、一瞬で解決されたシーンである。

確かに一応、予定調和にすら足りえないレベルで、ちょいちょい”銀河は何か他とは違う”部分を描写していたものの、あまりにもあっさりでドラムロールが無さ過ぎる。
私はてっきり、たまたま銀河が正妃用ドレスを試着してた場面を見てオッサンが勘違いしてぬか喜びしてずっこける、と言うシーンだと思った程だ。

また主人公銀河の成長具合にも、甚だ唐突さがあって、特にイリューダに話を付ける為単身敵陣に乗り込む場面などは、ぽかんとなった。
その場面自体、銀河をよく知る周囲のキャラ達も彼女の発言や態度に驚く重要な箇所ではあるのだが、そうなっても可笑しくないと思える過程が足りていないように感じる。いや絶対足りてない。
ただでさえ子供を地で行くキャラなのだから、いくらカクート先生やコリューンに個人授業を受けていても、プロセスが積み上がっていたとは思えにくい。要するに80分じゃ尺が足りていない。

ただ、上記した2つのシーンは、テンポや構成から見ると、必ずしも失敗していると断言出来ない所ではある。

銀河が正妃に選ばれたシーンは、前後に挟まれるセシャーミンの高笑いからのオチは見事だとも思うし、また銀河が敵陣に単身乗り込むシーンは必ずしも成長や変身を描いたものでは無いとも思えるからだ。
エンディングで銀河は生涯子供のままであったと語られる通り、あそこはあくまで無理して正妃ぶって頑張っているシーンであり、突飛に感じるほうが正解な訳だ。

血が出ない問題はTV放映故の弊害とも言える。
作画や動画が良いだけに、ここは非常に目立つ。とてもダイレクトに無視してある為、アンチテーゼとも取れなくも無いが。

声優陣は頑張っていた。
アマチュアが起用されればどうしても違和感と抱き合わせになるものの、一番重要な銀河役の佐野量子氏がキャラクターに合っているので、そこまでじゃないと思いたい。

もう一度書くが、個人的には嫌いじゃないアニメ。とても面白かった。
それでも名作じゃないことは確か。




・雲のように風のように
http://www.vap.co.jp/kumokaze/
・雲のように風のように - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B2%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E9%A2%A8%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB
・雲のように風のようにとは (クモノヨウニカゼノヨウニとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E9%9B%B2%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E9%A2%A8%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB
・雲のように風のように (くものようにかぜのように)とは【ピクシブ百科事典】
http://dic.pixiv.net/a/%E9%9B%B2%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E9%A2%A8%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB

・雲のように風のように
http://maguro.2ch.net/test/read.cgi/ranimeh/1162348921/
・雲のように風のように〔TVM〕 - みんなのシネマレビュー
https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=4856
・雲のように風のように 映画 感想 - 鑑賞メーター
http://video.akahoshitakuya.com/v/B000066O6T
・雲のように風のように(TVアニメ動画)の感想/評価、レビュー一覧【あにこれβ】
https://www.anikore.jp/anime_review/2298/
・雲のように風のように: 感想(評価/レビュー)[アニメ]
http://sakuhindb.com/janime/7_Like_20a_20cloud_20like_20a_20wind/
・ユーザーレビュー - 雲のように風のように - 作品 - Yahoo!映画
http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E9%9B%B2%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E9%A2%A8%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB/162296/review/
・Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: 雲のように風のように [DVD]
https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B000066O6T/ref=cm_cr_dp_see_all_summary?ie=UTF8&reviewerType=all_reviews&showViewpoints=1&sortBy=helpful

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OVA『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 星霜編』感想

星霜編

傑作だが同人。同人だが傑作。

TVアニメオリジナル然り劇場版然り、原作者が絶賛し公認していなければ公式であろうと所詮スタッフの想像力から派生したファンアートに過ぎない。
これは実写版にも言える事だが、原作と比較し優劣を判断する事は、作品への愛やリスペクトの確認と言う意味で限りなく正当で正確な評価であると思う。

勿論、基本的に原作と他メディア化された作品とでは別物と捉えるのは前提だが、中でも原作に可能な限り準じて製作されるTVアニメやその続編と位置づけされるものは、それら”別物”と呼ぶには作品としてニュアンスに少し差がある。
特にこのOVAである『星霜編』は原作に存在しないオリジナルストーリーだが、完全に原作と地続きで展開される内容の為、”原作とは別物”として切り離すにはその評価や感想として無理であり、また恐らく正しくない。

故に、この作品で主人公の「剣心」やその妻「薫」のキャラクターとしての変貌は、原作から推移として簡単に容認されるレベルの乖離では無いと受け止める視聴者がいても無理からぬ事である。

彼らの何がどう違うのか、それはアニメを見て把握して頂くとして、個人的にはOVAとして、それも完結している原作のその後を描くオリジナルアニメとしてこの作品に「傑作」の2文字を贈りたい。
ファンの間で名高い『追憶編』は原作基準のOVA化としてやはり傑作の出来だったが、この星霜編はそことは全くかけ離れた領域にある。

何故ならどれだけ心血を注ぎクオリティを高めても、叩き斬られるからである。
ただでさえオリジナル、その上原作は完結している。その続きを原作者以外が勝手に描こうと言うのだから、その時点で言語道断である。
しかも公式的にアーカイブされる作品としてである。企画の段階で狂っている。

しかしてOVAは完成し、評価の渦に巻き込まれ、それはこの恐るべきアニメを製作したスタッフたちのこの上無い至上の宝であろうと想像出来る。


=以下、感想です。=

年齢や怪我の蓄積による肉体の磨耗、苦悩と苦悩と苦悩に満ち、果ての無い巡礼に蝕まれる精神。
ズタボロに弱り果てそれでも己が赦される事こそが、救済の完結であると信じ歩く剣心と、それを一心に支えようとする薫。

剣心をシリアスな直線で描こうとすれば、誰でも到達するルートなだけに、その決着が鍵であり、どうしても賛否別れるところ。
薫が何故ああまで巴をトレースし、また活発であった己を殺し、そうでなくては剣心を支えられなかったのか、その背景は描かれないので若干不親切ではある。
剣心が薫の申し出を受けるシーンでも、彼らの沈み行く弱さが明確に描かれてはいるが、剣心の最期が敗北や暗殺でなく病死だと言う所も、監督の作家性がどうしてもオリジナルの方に偏ってシナリオされているように見える。

しかし、陰鬱だがそれでもハッピーエンドを描こうとした場合、画として必要なのは剣心と薫のカップルであり、この物語がるろ剣に相応しくないと言い切れるものでは無い。
そのファンアートをここまでのクオリティに仕上げたその手腕は評価したい。

これはあくまで、監督の考えるルートである。
重要なのは、るろ剣が必ずこの結果を迎えなくてはならない訳では無く、他の可能性を論じる事を封じた作品では無いと言う事である。

同人を公式に含めた事に反発を覚えるファンは多くいる。
その点に関しては私もその一人だが、しかしそれはこの作品の内容の評価とは全く関係の無いものである。

このアニメは、キャラデザが中途半端で気持ち悪い事と、実写がハイライト濃過ぎてノイズに感じる所と、上記した不親切な脚本部分、少し冗長に感じられる回想総集編やくどいホモソーシャルを除けば、別段悪くない。

確かに粗は多い。
しかし好みでしか語られないファンアート同人作品の中で、極めて別格の傑作だと個人的に感想したい。


・星霜編|るろうに剣心|アニプレックス
http://www.kenshin-tv.com/ruroken/seisou/
・るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- (アニメ) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%8B%E3%82%8D%E3%81%86%E3%81%AB%E5%89%A3%E5%BF%83_-%E6%98%8E%E6%B2%BB%E5%89%A3%E5%AE%A2%E6%B5%AA%E6%BC%AB%E8%AD%9A-_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1)

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